ひとつの時代の終焉

  

時間は流れる。
誰の上にも平等に。遅かれ早かれ訪れるその「終わり」に、こころを痛め続けているわけにはいかない。そんなことはわかっている。けれどもアトランタの子どもたちは、なにものにも替え難い大事な大事な存在なのだ。
彼は時代の寵児だった。
間違いなくアトランタ五輪の象徴であって、時代に愛されそして翻弄された。こんなにも早く一線を退いてしまうなんて、信じられない。もう一度日本のピッチで彼の姿が見たかった。
本当に悔しい。
前園真聖はこんな風に終わるべきじゃない。然るべき花道が用意されて、惜しまれながら戦場を離れていくべきだったのだ。サッカーに愛された男の結末としては淋しすぎる。
だからこそ、青いユニフォームの背番号7はいつまでもこころの中に。忘れるわけがない。忘れる必要もない。あたしたちのキャプテンは未来永劫、彼しかいないのだ。思い出は常に美しい。美しいことばかりじゃない世の中で、無情に流れる時の中で、思い出はいいように美化される。
それでも構いはしないのだ。
あの灼熱の夏を味わうことが出来たのは、あの子たちのおかげだ。しつこく繰り返す。忘れてなんかやるものか。あの子たちを愛した時間を、残された時間も、全てあたしものだ。墓場まで全部持って行ってやる。
好きになったら命がけ。


I love you madly.Thank you and good-bye.I hope to see you next stage.
さようなら、愛しいヒト。またどこかで会える日を楽しみにしているから。