あなたはわたしの顔を知り得ないのだ。

口を開けば、愚痴しか出ない。ならばあたしは貝になろう。


街はだいぶ春めいて、吹く風もどこか甘いような軽やかな感触を残します。もう4月です。日々はあっという間に過ぎていくのに、1日はなんて長いのでしょうか。目が覚めてからの2時間は地獄のような苦しみで、こころがきーきーと悲鳴を上げるのに、寝惚けた頭はそれを感知しようとはせず、染み付いた動作であたしを満員電車へ押し込むことに成功する。見上げることも忘れた空はたぶん明るいのでしょう。高層ビルの立ち並ぶ西口のひとつに吸い込まれ、小さな箱に揺られて辿り着く見慣れたフロア。そこでいいやっと観念するのです。今日もくだらないことにこころを痛めながら、思ってもいないことを口にする時間が始まるのだと。けれど時間が経つのをじっと待てば、やがて終わります。咲かない花も枯れない花もないように。我慢と忍耐を総動員すればまだあたしは生きていける。


明日も、また頑張ろう。薄っぺらなひとことでおやすみなさい。
あなたにもあたしにもいい夢を。





めづらしく、ヤスをかっこいいと思いました。